悪徳古本屋?・・・
古本屋もいろいろ、良品的な古本屋と言えば、前章で描いた、あまり裕福で無い古本屋さん。
私が最近蔵書を処分しようと、電話帳で古本屋を探して居る時、その頃には懇意していた古本屋はすでに廃業していました。
当時私も二十数年営んだ自営業を、廃業していました。
その仕事場に無造作に積まれた蔵書三千数冊の隙間が、孫の遊びになって居ました。
その蔵書を処分してしようと、古本屋を探していたわけです。
電話帳で、かなり大きそうな古本屋数店を選んで電話して、其の内の一軒が、来てくれるとの話。
数日後にやって来たのが、なんとも偉そうな親爺でした。
しかも運転手付きの外車、私には銘柄さえ知らない大きな外車に乗っていました。
最初から違和感を感じましたが、後の祭り。
挨拶もそこそこに、積まれた蔵書を物色し始めました。
案の定、ざっと一回りおざなりに、最初からそれなりの見当がついているかのように、
わたしの最初の印象どうり、嫌な予感どうり。
私はいちよう、作家別、本の状態、帯、初版など、詳しく記したノートを渡しましたが、一瞥しただけで返してくれました。
そして運転手かさもなければ助手に、私の目を避けるように、後ろ訊くんだ手で何か合図を示しました。
私に見え無いように、指一本を立てているのが、私の目に入りました。
私は勝手に、百万かな?
彼はその十分の一の値をぬけぬけと、恩義せがましく言いました。
最初から決まっていた様子です。
丁寧にお断り、帰ってもらいました。
古本屋さんもいろいろ。